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「勢いを感じるアスリート」上位が変わった要因は? ~「アスリートイメージ評価調査」2017年6月調査より~
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アスリートイメージ評価調査(2017年6月)の結果について書かせていただきます。「勢いを感じる」アスリート1位は張本智和(卓球)、2位平野美宇(卓球)、3位みまひな<伊藤美誠・早田ひなペア>(卓球)が上位を占めました。張本智和は卓球世界選手権(デュッセルドルフ)で史上最年少13歳の日本代表入りを果たし、中国オープンでは元世界ランク1位のウラジミール・サムソノフに勝利しています。
また、新大関として名古屋場所に挑んでいる髙安は4位、高校通算100本塁打を達成した清宮幸太郎は5位にランクインしました。これからのミライ世代の台頭が目覚ましい結果となりました。

■試合結果の影響を受けやすい「勢いを感じる」アスリート

ところで、ここで気になることがありました。これまで「勢いを感じる」アスリート上位の常連だった大谷翔平(野球)が入っていません。また、他のイメージ項目にも変化があったのかも興味があるところです。
まず、「勢いを感じる」イメージですが、試合結果が影響しやすい項目と考えています。大谷翔平は、春先の右足首故障で欠場が続き、今シーズンは実力通りの活躍ができていません。欠場していることから、アスリートイメージが薄くなったのではないかと思います。
しかし、29イメージ項目全体で見た場合は、前回調査(3月)から減少したのは、「勢いを感じる」のみでした。他の「爽やかな」「かっこいい」「存在感がある」などは前回調査と同程度と大きな変化は見られません。特に、「存在感がある」では1位のイチロー(野球)、2位白鵬(大相撲)、3位羽生結弦(フィギュアスケート)に次ぐ4位となっており、日本国民に馴染み深いトップアスリートの仲間入りを果たしたと言えます。「投打二刀流」という野球の常識を破壊したアスリートです。存在感も高くなるわけです。

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■「勝ち負けにかかわらず、全力を尽くす」アスリートが好まれる

さて、好きになる(応援したくなる)アスリートの特徴についての質問では、「勝ち負けにかかわらず、全力を尽くす」が最も高い項目となりました。以下、「常に謙虚だ」「ファンを大切にしている」「笑顔がすてきだ」「試合によく勝つ」「世界/日本新記録を達成した(しそうだ)」「外見・容姿がいい」「頭脳的に試合をすすめる」「海外のチームやリーグで活躍している」「万全なコンデイションで常に出場し続ける」などとなっています。好きになる(応援したくなる)には、全力を尽くすことが最も大きな要素となっています。

性年代別分析を見ると「テレビなどのバラエティ番組に出演している」「テレビなどのニュースでよくとりあげられる」は女性10~30代が近く、「テレビなどのスポーツ番組に出演している」は男性10~20代が近く、それぞれの傾向となっています。テレビをはじめとするメディア情報からもアスリートのイメージ形成には大切な要素となっています。

【好きになる(応援したくなる)アスリートの特徴】

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そういえば、1986年のMLBオールスターゲーム、怪我でプレーできない選手をファンが選びました。3154本とイチローより100本ほど多い生涯安打数を持つジョージ・ブレット(カンザスシティ・ロイヤルズ)でした。球宴のセレモニーには顔を出し、開催地ヒューストンのファンを喜ばせていたのを思い出しました。ファンの期待に応えることも、「プロ」として大切なのでしょう。

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武方浩紀 データドリブンビジネス開発センター

1995年博報堂入社。初任配属は事業本部。2004年メディアマーケティング局兼ラジオ局複属。現在はデータドリブンビジネス開発センター メディア・コンテンツマーケティング部。主にメディアやコンテンツの調査分析及びデータ開発に従事。最近のマイブームは「子育て」。

※執筆者の部署名は、執筆時のものであり現在の情報と異なる場合があります。

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