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リオ五輪の前後でアスリートのイメージはどう変わったのか?
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南米大陸で初開催の「リオデジャネイロオリンピック」。あっという間に過ぎ去りました。本当に多くの日本人アスリートたちが活躍しました。史上最多41個のメダル獲得は誇るべきことだと思います。

「内容的に満足できるものではなかったですけど、柔道という競技の素晴らしさ、強さ、美しさを見ている皆様に伝えられたんじゃないかなと思います」(勝利後インタビューより)

柔道男子73キロ級で金メダルを獲得した大野将平さんの言葉が印象に残っています。というのも、柔道という「競技」そのものを背負っていく、こういう気持ちは高尚な志だと感じたからです。さまざまなことを乗り越えたことからの気持ちでもあると思います。もちろん彼だけでなく、数多くのアスリートたちが名言を残しています。それらがメディアを通じ、世の中に広がり、アスリートたちのイメージを形作っていくのではと考えています。

博報堂DYメディアパートナーズは、リオデジャネイロオリンピックの事前調査(2016年7月)事後調査(同8月)を行いました。

事前の「リオデジャネイロオリンピックで活躍を期待するアスリート」では1位:内村航平(体操)、2位:吉田沙保里(レスリング)、3位:錦織圭(テニス)、4位:白井健三(体操)、5位:福原愛/石川佳純(卓球)となりました。

事後の「リオデジャネイロオリンピックを見て感動したアスリート」では1位:内村航平(体操)、2位:吉田沙保里(レスリング)と「リオデジャネイロオリンピックで活躍を期待するアスリート」と同じ順位となりましたが、3位:福原愛(卓球)、4位:錦織圭(テニス)、5位:4連覇の伊調馨(レスリング)になりました。微妙な変化が見られています。


(事前調査より)            (事後調査より)

また、リオデジャネイロオリンピックに出場したアスリートたちの認知度と好意度が事前と事後でどのように変化したかを見てみました。22名と限られた人数ですが、ある程度の傾向は見えると思います。

図:リオ五輪出場アスリートの認知度と好意度

アスリートの認知度をX軸、好意度をY軸に置き、事前(左図)と事後(右図)でプロットしてみました。これを見ると認知度、好意度ともに事前よりも事後でプラス方向に働いています。

アスリートごとで見ていくと、認知度ではタカマツ(高橋礼華・松友美佐紀)ペアで50ポイント以上、水谷隼と登坂絵莉で40ポイント以上、ケンブリッジ飛鳥で30ポイント以上、松本薫や三宅宏実で約20ポイントと事前調査から飛躍的に伸びました。好意度についても全体的に伸びています。

この調査結果からの示唆としては、リオデジャネイロオリンピックに限らず、大きな大会はアスリートにとって人生が変わる貴重な機会ではないでしょうか。大舞台で活躍することで認知度や好意度が向上、イメージ価値も増幅され、世間の注目も集める好循環ができてくると思います。スーパースターへの扉が開く瞬間ではないでしょうか。

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武方 浩紀 メディアビジネス開発センター

1995年博報堂入社。初任配属は事業本部。2004年メディアマーケティング局兼ラジオ局複属。現在はメディアビジネス開発センター メディアコンテンツマーケティング部。主にメディアやコンテンツの調査分析及びデータ開発に従事。最近のマイブームは「子育て」。

※執筆者の部署名は、執筆時のものであり現在の情報と異なる場合があります。

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