「キャリジョ研」レポートVOL.5 いまどき女子のインサイトを徹底分析! キャリジョ研的消費のツボ2016(後編)

今回のキャリジョ研レポートは、キャリジョ研が実施した座談会の様子を2回に分けてお届けしています。
後半では今年女子に流行るものは何か、キャリジョ研が考える2016年の消費のツボをご紹介。メンバーそれぞれの想いがほとばしる熱い座談会となりました。

参考:いまどき女子のインサイトを徹底分析! キャリジョ研的消費のツボ2016(前編)

■美しい一瞬だけじゃなく、努力のプロセスも見せる!

瀧川:2016年、キャリジョに流行るものは何でしょうか。ここからは、それぞれが考える、いま来ている、あるいはこれから来そうなモノ、コトについて話してみましょう。

白根:先日Bean to Bar(ビーン・トゥ・バー)に特化したチョコレート専門店に行ってみたら、ものすごい人気でした。一見ふつうのチョコなんだけど豆選びからこだわっていて、店内で豆を粉砕するところから見ることができる。そういう特別感が人気の鍵だと思います。人気が定着しつつあるグラノーラも、いま特に無農薬・有機栽培にこだわった福岡の専門店などが話題だそうです。
SNS1.0時代はツイッターの140字でどう語るかというとてもバーバルな時代だった。そこからフェイスブックを経て、ノンバーバルなインスタグラムが主流になり、女性たちは「写真に映えるものを買いたくなる」という「フォトジェニック消費」が生まれた。今はさらに進化して、フォトジェニックなだけではだめで、それにまつわるうんちくとか、ハッシュタグの付け方とか、商品の裏側にある「ストーリー」をいかに語れるかが大事になってきています。昔からマーケティングでは、商品のストーリー性を伝えることが大事とは言いますが、今は、それを言葉で伝えるだけでなく、写真映えするようにストーリーを伝えられるのが重要。フォトジェニック+ストーリー性でフォトーリージェニック消費の時代と言えるのでは。

西谷:同じように、これまでは美しい瞬間を切り取った写真1枚でよかったのが、いまはそこに至るプロセス、努力の跡も見せるようになってきていますよね。ジムで汗を流す姿とか、頑張っている過程をあえて見せるタレントも結構いて、一般の子がそれを真似している。それを私は努力の押し売り消費と名付けてみました。(笑)。スポーツだけじゃなく、特別な日の料理をつくっている写真とか、ホームパーティの準備の様子とかの写真が最近すごく増えたなって感じます。

全員:確かに多い!

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白根:それから、自分を知り尽くしたこなれ消費。ベーシックアイテムを活かしながらも抜け感、こなれ感を出すファッションは少し前から流行っていますが、いま、ヘアアクセをあえてつけず自分の髪だけでアレンジしたりと、もっと肩の力が抜けた感じが支持されている。自分の髪質をちゃんとわかってないとできないし、決して手を抜いてるわけでもない。たとえば、「忙しいなか毎晩料理をつくっています」というブログがあって、そんなに気張っている感じではないのだけれど、ちゃんと丁寧に作っているというのが伝わってくる。その絶妙なバランスが共感を呼んでいるような気がします。

■細分化するTPOに合わせたファッションに、「ちゃんとした暮らし」の追求

宇平:私が注目したのは家電。外でシミ抜きができる携帯洗濯機とか、携帯できるかわいい電動歯ブラシとか。オフィスにちょっと豪華なコーヒーマシンを常備して、好きなコーヒーを楽しんでいる女子もいるらしいです。外でもオフィスでも使えるものが増えていて、女子のノマド化が進んでいると感じます。

伊藤:確かに家にいる時間よりもオフィスや外にいる時間のほうが長いよね。オフィスもより快適にして、自分の城化していってるのかも。

正能:私が気になったのはハイパープレミアムルームウェア。ウールベロアを使った、素材にとことんこだわったルームウェアで、4万円位するのにデパートで欠品が出るほどの人気らしいです。「おうちでもかわいいわたし」が演出できるふわもこ系のルームウェアが人気でしたが、いまは「ちゃんとしてるわたし」「丁寧に暮らしてるわたし」を推す時代なのかなと思う。

西谷:ピンポイントTPO消費も気になります。最近女性誌の見出しで「スーパーマーケットで浮かない」というのを見かけて。ファッションの系統が曖昧になってきていて、極論を言うと、そのときの状況に応じて自在に変えていくようになっている。たとえば男女のカジュアルな飲み会なら、「男に媚びずに自分を貫く強め女子」でいこうとか。
SNSでコーディネートをアップするのも当たり前になってきてるし、ファッションのレンタルサービスも広がっている。服は、所有するというよりその時々で「こういうものを着ているわたし」を演出するものになってきていて、TPOをどんどん細分化して対応している気がします。

仙石:私は、最近婚活のイメージがポジティブになってきているような気がしています。ネットやSNSの婚活サービスも充実してきているし、テレビや書籍でもポジティブに婚活テクを紹介している。女性の社会進出、晩婚化が進むなか、働きたいけどちゃんと結婚もしたいって思う女性は増えている。でもすでに経済的に自立しているから、その点あまり妥協はしたくない。それで、自分よりやや年収が高めのプチリッチ婚を狙うためにも積極的に婚活する傾向が強まっているんじゃないかと思います。

瀧口:キャリジョ’s eyeにも出ていた「本能くすぐり消費」系の延長かもしれませんが、じわっとする感じの、ぼかし系のメイクも流行ってますよね。リップや眉など、ちょっとつけただけで1週間キープできるティントメイクのアイテムも人気で、時短でかつ簡単にメイクできる商品が増えています。色つきの化粧水や美容液もあって、いかにもメイクしたって感じではなく、あたかも元の素材がいいように見せられるのも特徴かもしれない。

松井:私は塩系インテリアが気になります。ノームコアはファッションだけじゃなくてインテリアにも広がっていて、シンプルで男前なインテリアが流行りつつある。モノを持たないミニマリストの出現と同じ流れかもしれません。

伊藤:確かにどんどんシンプルになっていっている。私は自分で柄物の服を着なくなったなと感じます。色を統一するというよりは、余計なものは身につけないようになってきている。デトックスとか断捨離の段階を過ぎて、もはや最初から余計なものは持たないようにしようとしているのかもしれないですね。

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瀧川:最近外部の方と、いまの20代は「ちゃんとしていたい欲求」が強いよねという話をしていて。休日に楽しげに遊ぶリア充が注目されつつも、本当はもうちょっと家にいてごはんつくってたい、ちゃんとした生活を送っていて充実してるってことを見せたいという気持ちがあるんじゃないかと。夜のクラブよりも昼間のフェス、脱浪費・脱過激といった風潮にも同じ背景があるかもしれない。それからやっぱり「フェイスブック疲れ」があって、大勢が見ているフェイスブックよりも、リアルな仲間だけがいるインスタグラムの方が居心地がいいという。フェイスブックは完全にオフィシャルな場、インスタグラムはプライベートな場という風に使い分けていますよね。グルメ情報にしても、最近はいろんなレビューが混在する口コミサイトより、最初からセンスを信頼している人のインスタを見てお店を選ぶという風に、インスタは検索機能として使われているし、大衆の口コミよりも近くのオススメが価値を持つようになっている気がします。そういうの事をふまえると、いいねの数を競う時代から、「量より質」の時代になりつつあるのかもしれませんね。

■結論!2016年、キャリジョ研が考える働き女子の消費トレンドとは?

1.     規則正しいちゃんとした生活こそが、真のリア充である!「ちゃん充消費」
アサイーボール、ココナッツオイル、高級なプレスジュースなど、フォトジェニックな健康アイテムの消費だけだと、見栄は張れるけどあまり効果はともなわない。むしろ玄米や老舗のだしなどを活用し、自分が作ったもので、継続的にちゃんとした生活を送ることのほうが価値が高く、それこそが真の“リア充”(=ちゃん充)と言えるのでは。インスタグラムなどでは「#おうちごはん」「#あさごはん」などのハッシュタグが夏フェスに行くことと同様、“ちゃん充”であることをアピールできる価値を持ちつつある!

2.     引き出しの多さをアピールして、360度お呼ばれ対応!「360度対応ファッション」
イベントごとがあると何でもSNSに掲載されてしまう時代だから、その日の服装やヘアメイクを決める際は“第三者に自分がどう見られたいか”がポイント。ファッションの対応力があり、ちゃんと空気が読めていると思われたいから、BBQやフェス、旅行から、会社の飲み会、打ち合わせに至るまで、どんなシーンでも決して“浮かないこと”が大前提。ファッションに迷った際はネットで検索してテンプレートを探し、自分なりのアレンジを少し加えて対応する。かくして自分が着たい服よりも、人にどう思われるかを意識した「360度ファッション」が完成する!

3.     フォトジェニック+ストーリー性が大事!「フォトーリージェニック消費」
SNS上にはフォトジェニックな投稿が溢れている。見飽きられて「いいね」もなかなか伸びない。そこで、フォトジェニックな瞬間に至る過程(ストーリー)も見せることで“フォトーリージェニック”へと進化させ、差別化を図るように。料理風景にはしっかり自分の手を写り込ませるし、パーティーの準備の様子も見せて大変さをアピール。ダイエットにおいてもトレーニング中の写真や動画をちゅうちょなく投稿するように。さらに、制作工程が見えるチョコレート専門店や、職人さんが目の前で仕上げてくれるアクセサリー専門店、ハイブランドのカバンの名入れなどが人気に。作る過程を見せつける“フォトーリージェニック”の流れはモノにも到来しつつある!

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キャリジョ研公式サイト開設を記念しての座談会は、短い時間だったにもかかわらず、メンバーそれぞれがキャッチしてきたいまどき女子の消費のツボで熱く盛り上がりました。
これからもキャリジョ研はさまざまな側面から「働く女子」を徹底分析していきます。ご期待ください!

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キャリジョ研って?
「働く女性」(キャリジョ)をテーマに、博報堂および博報堂DYメディアパートナーズの女性マーケティングプラナー、プロモーションプラナー、メディアプロデューサーにて立ち上げた社内プロジェクト。
女性のトレンドを集めたインサイト分析や、有識者ヒアリング、女子会形式の定性調査、インターネットによる定量調査、クラスター調査などから「働く女性」を徹底的に分析。
その成果を社内外のナレッジとして共有し、日々のマーケティング・プランニング業務に生かしている。

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(写真前列左から博報堂DYメディアパートナーズ 雑誌局瀧川千智、(以下全て博報堂)MD戦略センター 第一プラニング局伊藤祐子、MD戦略センター ショッパー・リテールマーケティング局買物研究所松井博代、MD戦略センター アクティベーション企画局岡村実玲
後列左からMD戦略センター 第二プラニング局仙石エミ、MD戦略センター 第一プラニング局西谷麻衣、MD戦略センター 第一プラニング局瀧口希望、MD戦略センター アクティベーション企画局白根由麻、MD戦略センター 第一プラニング局宇平知紗、MD戦略センター 第一プラニング局正能茉優)

(撮影:亀山倫華)

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