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スマートテレビの今 ~ここまでできる!スマートテレビの可能性~(JAAA動画広告フォーラム2017より)
REPORT

日本広告業協会(JAAA)・テレビ小委員会が主催する「JAAA動画広告フォーラム2017」が、「テレビを取り巻く動画広告~テレビ視聴環境の変化と動画広告ビジネスを探る~」をテーマに2017年5月22日(月)に有楽町よみうりホールにて開催されました。

デモンストレーションコーナーでは「スマートテレビの今 ~ここまでできる!スマートテレビの可能性~」というテーマで、データドリブンビジネス開発センター田代奈美が登壇。2010年以降のテレビの進化をはじめ、テレビのインターネット接続率、昨今のテレビリモコンの変化についての紹介と、実際のスマートテレビを使用し最新機能のデモンストレーションをしました。

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田代 奈美 データドリブンビジネス開発センター開発推進部

■生活者の視聴環境とテレビデバイスの進化

田代:スマートテレビは、2015年ごろから現在のかたちになってきましたが、地デジ化(2011年)でテレビを買い替えた方が多く、まだご家庭でお持ちの方は少ないかと思います。
生活者の方々のテレビ視聴スタイルがどう変化し、テレビデバイスがどう進化しているのかを分かったうえで、テレビにのせるコンテンツをどうしていくかを、動画広告に関わる私たちは考えていかなければならないと思っています。
放送局などの方からも、“スマートテレビはこんな機能になっているんだな”、“ではここにビジネスチャンスはあるのか?“などの声をいただいておりましたので、今回はそもそもテレビデバイスがどうなっているのかをご紹介させていただきます。

テレビは2010年以降、「3Dテレビ」「LEDテレビ」「4Kテレビ」など、大画面化とともに音響も画質もとても進化しました。そして地デジ化し、ハイブリットキャストの開始、4Kの試験放送がはじまりました。
いまは「スマートテレビ」という言葉は普通に聞くようになりましたが、2011年にアメリカで開催された家電ショー・CESで、韓国のメーカーがスマートテレビと呼び始めたと記憶しています。

いまはテレビ保有者の約2~3割がネットに接続し、またスマートテレビ保有者では実に6割以上がネットに接続している(※独自調査)と言われています。テレビをネット接続させることは、多くの方にとってはまだ時間がかかることだと思いますが、次の買い替えサイクルが2020年の東京オリンピックまでにやってきた時には、保有されているテレビの半分以上がスマートテレビになっていくのではないでしょうか。そうなると、おのずとテレビのインターネット結線率は上がっていくものと予想しています。

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■標準装備となった「ホームボタン」「Netflixボタン」「マイクボタン」

田代:では、着々と進化をしているテレビのUIやUXを紹介していきます。まずテレビのアプリや機能、サービスにアクセスできる「ホームボタン」を押してみます。購入時は標準アプリのみですが、簡単にアプリを追加することができます。
ホーム画面には、テレビ、無料配信、有料配信、ゲーム、インターネットサイトなどが一度に表示され、テレビ画面で放送コンテンツと配信コンテンツをまたいで観ることができるプラットフォームのようになっています。
また、スマートデバイス同様に、テレビがアップデートされると新しいアプリが画面に表示されるので、新たなサービスをお知らせする場としても使われていくことになるのではないでしょうか。

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▲ホームボタンを押すことによって画面には様々なコンテンツが表示される

次に、Netflixが日本でのサービスを開始(2015年9月)する前の2015年春モデルからリモコンについた「Netflixボタン」。Netflixの画面に遷移するだけではなく、テレビの電源が切れているときでも、Netflixボタンを押すと電源が入りNetflixが起動します。無料放送に慣れ親しんでいる日本では、有料の動画配信の普及はまだこれからという段階ですが、リモコンにボタンがあるということは、サービスの入り口としては非常にインパクトがあると思います。

3つ目のボタン、「マイクボタン」はご想像のとおり音声検索ができます。以前はいわゆる“棒リモコン”に音声検索機能がついていたのではなく、音声検索用リモコンが別でつくモデルもありましたが、2016年モデルからは棒リモコンのなかにマイクボタンが入ってきました。
番組名やタレント名、気になるキーワードをつぶやくと、テレビ番組だけではなく有料・無料の配信や、アプリなどからキーワードに該当するものが表示されます。
○○を見ようかなと思っていても、結果的に違うコンテンツをみてしまうことにもなる機能ですが、テレビも、能動的に検索して視聴するパソコンやスマートフォンのようなものになってきているとも言う事ができると思います。

■スマートデバイスのように、様々なコンテンツがテレビ画面に

田代:では、「野球」で音声検索をしてみます。
まず、現在放送されているものとこれから放送されるものが表示されるので、ここで予約をするのもよし、放送を見るのもよし。つぎはYouTubeですね。あとは録画されている番組や有料配信サービス、Webブラウザなどが出てきます。どのプラットフォームかは関係なく、自分がみたいものを出してくれるイメージです。
生活者からみて放送と通信が一緒になってきていると考えると、スマートデバイスと同じようにテレビでも様々なものが視聴される時代になってきました。テレビの買い替えが進み、日本人の多くの方がこういった環境でお茶の間のテレビの前に座ることを考えると、難しい判断にはなりますが、何をどの様な形でテレビ画面に表示させるかを考えていかなければならないなと思います。

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そして2~3年前から、テレビのHDMI端子に差し込み、Wifi環境があれば簡単にテレビがネット接続するデバイスが売られています。新しいスマートテレビを買わなくても、一昔前のテレビをそのまま持っている方、買い替えはまだちょっと…と思っている方でも、テレビ画面をつかって様々なコンテンツを見られる環境が1万円程度で整い、生活者にとっては非常に手軽で便利ではありますが、その際のビジネスチャンスはどこにあるのか、ということも考えていかないといけません。

生活者は、テレビ画面で見ているコンテンツが放送なのか配信なのかはシームレスに感じてきていますので、今後はコンテンツをもっている皆様にとって、テレビはコンテンツの出し先のなかのひとつになっていくのではないでしょうか。ご清聴ありがとうございました。

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▲会場ではデモンストレーションで使用されたスマートテレビを操作できるコーナーも
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▲田代が運営する「smart media LAB」には最新スマートテレビが並ぶ

◆プロフィール
田代 奈美(たしろ・なみ)
データドリブンビジネス開発センター開発推進部
1996年博報堂入社。博報堂テレビ局、博報堂香港勤務を経て、地デジ化後より新しいテレビ広告手法の開発や、スマートテレビ研究・広告事業開発に従事。2014年よりデータドリブンビジネス開発センターにて新たなメディアビジネス開発に携わる他、スマートテレビなど最新サービスを体験できるメディアルーム「smart media LAB」を運営。

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