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テレビの環境変化とデータの拡張【広告ビジネスに関わる人のメディアガイド2019 リレーコラム】#2
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マスメディアからインターネット、アウトドアまで、広告メディアについてのあらゆるデータを収録した書籍『広告ビジネスに関わる人のメディアガイド2019』(博報堂DYメディアパートナーズ編)が、全国の有力書店・オンライン書店で販売されています。
「メディアガイド」は、博報堂DYグループの社内向け冊子を2015年に初めて書籍化したもの。2019年版は、メディア環境研究所所長が「メディア環境のこれから」について語ったインタビューに加え、東京五輪を目前に控えた今、押さえておきたい「2019年のスポーツコンテンツビジネス最新動向」も収録しています。
コラムでは、本書の編集に関わった博報堂DYメディアパートナーズ社員が、各メディアのトピックを紹介します。

メディア環境研究所が毎年行っている「メディア定点調査2018」によると、“テレビ”接触時間の微減傾向に変わりはない反面、“携帯・スマホ”接触時間(東京地区)が遂に100分を超え、“テレビ”の144分に迫ってきています。

それに伴いインターネット広告市場も依然として右肩上がりで伸長、2019年にはついにテレビ広告費をインターネット広告費が上回ると予測されており、CMはテレビとオンライン動画の両方で流すのが当たり前になってきました。

インターネット広告は、バナーの表示やクリックによる自社サイトへの来訪、オンライン上での購買など、「ユーザーの行動データ」がリアルタイムで取得でき、投下費用に対してのリターンを計算しながら運用することができるため説明力があります。そのため、広告効果の透明性を求める広告主のニーズを満たして成長してきました。

テレビメディアも広告主のニーズに応えるべく、テレビ視聴率データの拡張が始まりました。今までの世帯視聴率による取引から、個人単位の視聴率にタイムシフトでの視聴も加算した新たなスポットCMの取引指標の導入や、2020年に予定されているビデオリサーチの機械式視聴率調査の拡大といった既存ビジネスデータの進化はもちろん、2024年には世帯普及率が99%になると言われている4Kテレビ受像機などのスマートテレビによる視聴ログデータの取得ほか、新しいテレビの“オンラインデータ”に注目が集まっています。

我々はこれらのデータを駆使し、テレビの広告効果をインターネット広告のように評価・運用できるようにしていく必要があると考えています。

若年層の視聴量が減っているなど、課題もあるテレビメディアですが、テレビにはインターネット広告にはない魅力があります。それは、家族や友人と一緒に見ることができる“共視聴性”や、日本全国の人が同じ時間に同じものを見ることができる“同時性”です。

また、未知のものに出会える“セレンディピティ(偶然の出会い)”も、ターゲティングが当たり前のインターネット広告にはないテレビの魅力です。GAFAなどのインターネットの覇者がたくさんのテレビ広告を出稿するのもそのあたりが理由ではないでしょうか。

今後どんどん進んでいく“テレビ”のオンライン化・高機能化に向け、2019年はこれらのデータをどのように活用していくかを検証し、テレビの価値をより最大化していく取組が活発化していくと考えています。

AdverTimes「メディアガイド2019」リレーコラムより転載

【リレーコラム バックナンバー】
#1 テレビの再価値化とデータ連携の可能性

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