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デジタル・マーケティング最前線 前篇-dmexco@ドイツ・ケルン
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欧州最大のデジタル・マーケティング・カンファレンス「dmexco」が9月14~15日、ドイツのケルンで開催されました。
現地を視察した、博報堂DYデジタル 舩越啓の報告をご紹介します。

日本では知る人が少ない「dmexco」。「Digital Marketing Exposition and Conference」の略です。ケルン中心部にあるケルンメッセに、5万人を超える参加者と、1000社を超える展示企業が集まります。

ケルンメッセの展示面積は、なんと幕張メッセの約4倍。その会場の約半分程度を使ってこのイベントが催される、世界有数のカンファレンスです。

広告主、エージェンシー、メディア、ソリューション・テクノロジーベンダーなど、デジタル・マーケティングに関わるプレイヤーが一堂に会し、その最新動向を欧州、さらには世界に向けて発信する場所になっています。また(特に欧州の)デジタル・マーケティング業界の人にとっては、ネットワーキングや商談の場でもあり、各社のブースでは熱心なセールス活動が行われています。

会場には、大型の「カンファレンスホール」が4つ、特定のテーマについて深い話をする「セミナールーム」が7つ、参加型のワークショップを行う「ワークラボ」が2つ。デジタル・マーケティングに関わる多岐にわたるテーマで、プレゼンテーション、パネルディスカッションが同時並行で行われています。

とりわけ今回のdmexcoにおいては、「ビデオ」「VR/AR」「メジャメント」「データ」「デジタル・トランスフォーメーション」。そんなテーマがホットなトピックになっていたように思います。

実際にdmexcoを訪問し、私自身が特に印象に残ったテーマや今後のビジョンについて、2回にわたりレポートします。

■テキストから動画、ビデオ、そしてVRに本気-Facebook

オープニング基調講演はFacebookのCPO (Chief Product Officer)のクリス・コックス氏。「Video and the Next Billion」と題して、Facebookが目指すビジョンを語りました。

創業時にはテキストだけだったFacebookのニュースフィードの姿を振り返りながら、ニュースフィード上でのコミュニケーションがいかに進化を遂げて来たか。「ビデオ」によるコミュニケーションはますます一般化し、2020年にはモバイルのトラフィックの7割はビデオによるものになるだろうと予測しています。そしてビデオはこれから、360度、LIVE、VRへと進化・多様化する、と考えているようです。

とりわけVRについてFacebookは本気で取り組む姿勢を見せています。グローバルアカウントパートナーショップ担当VP、ウィル・プラット・ヒギンス氏が語るには、Facebookには1年プラン、5年プラン、10年プランという計画があり、VRはその5年プラン、10年プランの中で大きな意味をもつ戦略であるとのこと。

「かつてコンピューティング・プラットフォームの中心がPCとマウスであったように、また現在その中心がモバイル・デバイスにシフトしているように、近い将来私たちのコンピューティング・プラットフォームは『VR』になる。さらに、モバイルが一気に小型化・コモディティ化したように、VRデバイス(カメラやヘッドセット)もそれより速いスピードでコモディティ化するだろう」。

誰もがVRカメラやVRヘッドセットを持ち、VRビデオを楽しむ、VRカメラで情報を発信する。そんな未来の到来を予測させます。

クリス・コックス氏が、講演の最後にオーディエンスに対して言った言葉は“Let’s make something cool.”「クールなモノをつくろう」。私たちをとりまくメディア環境や、コミュニケーションの将来を予測するときに、彼らの動きからはますます目が離せないと思います。私たちマーケティング・コミュニケーションに関わる人にとっては、ますます想像力とクリエイティビティが要求されることになりそうです。

次回は「LIVEプラットフォーム」(twitter)「The Moment that Matters」(google)についてレポートしたいと思います。

 

【関連情報】
デジタル・マーケティング最前線 後篇-dmexco@ドイツ・ケルン

舩越 啓 博報堂DYデジタル
プラニング開発ユニット ユニットマネージャー

1994年に博報堂入社。マーケティング局、インタラクティブ局にてストラテジックプランナーとしてクライアント企業のマーケティング支援に携わる。外資系金融機関において広告主としてのWEBマーケティング業務を経て、2004年博報堂にてデジタルマーケティング戦略立案業務を担当。2012年より米国赴任、マーケティング・アナリティクスの実務に携わる。帰国後、2016年より博報堂DYデジタルにて、クロスメディア効果の検証・プランニングメソッドの開発に従事。

※執筆者の部署名は、執筆時のものであり現在の情報と異なる場合があります。

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