コラム
Twitter上の地方新聞社の動画コンテンツに広告を配信する インストリーム動画広告配信サービス「LoNTI」(後編)
COLUMNS

博報堂DYメディアパートナーズ(以下、MP)は2020年9月、地方新聞社が作る動画コンテンツに、Twitterの広告メニューを連携させたインストリーム動画広告配信サービス「LoNTI」の提供を開始しました(リンク:https://www.hakuhodody-media.co.jp/newsrelease/20200928_28309.html)。
LoNTIの内容や開発の経緯や、地方新聞社にはどんなメリットがあるのかといったことについて、Twitter Japanの谷本晴樹氏、津田裕一氏と、MPの五十嵐丈鑑、後藤 勉、高橋佐世子が語り合いました。

前編はこちら

東京にいる地方出身者にアプローチ出来る

五十嵐
LoNTIで扱うコンテンツについてお話したいと思います。
地方新聞社でも、かなりの数の動画を作成をしているところがある一方で、そうでないところもあります。ただ、動画を作っている新聞社であっても、毎日多数の動画をアップし続けている、といった状況までは至っていません。我々としては、LoNTIやNEWS BRAINを活用いただくことで、この状況を変えていけたらと考えています。
LoNTIで広告主にコンテンツを提供するに当たって、普通のニュースだと面白みに欠けるかなというのは新聞各社が考えていらっしゃるので、地元のアイドルのライブコンサートの動画や、地元の雄大な自然をドローンで撮影した映像、地元のグルメに紐付いた映像、地元スポーツチームの映像など、いろいろ工夫した映像を作っていらっしゃいます。
谷本さん、Amplify Sponsorshipではこういったコンテンツが望ましい、求められている、といったことがあれば教えてください。

谷本
地方には宝がもっと埋まっているはずだと思うんです。地方特産の料理や面白い標識なんかがそれに当たると思うのですが、Twitterで日々話題になるものを見ていると、地元の人にとっては当たり前だけれども、そうでない人は驚いてしまうようなものなんですよね。ですから、そういうお宝をどんどん発掘して出していただければと思っています。
また、現在のような難しい状況だからこそ、みんなが笑えるような前向きになれるようなコンテンツは、広告主から「地方ってユニークだよね」と思っていただけますし、広告に繋がる土台になります。地方新聞各社にはどういった動画が話題になったか、PDCAを回していただき、話題になるものの傾向を掴んでいただけたらと思います。地方新聞社の方とお話していると、最初は「こんなものが話題になるの?」と驚かれるケースが多いです。

津田
地方出身で東京にお住まいの方が、出身地のニュースを報じるアカウントをフォローしていたり、ニュースを見て「懐かしい」とリツイートされるケースは非常に多いんです。ですから、地方新聞社には、Twitter上での話題活性化に非常に貢献いただいているな、と以前から感じていました。LoNTIにおいても、引き続き面白いコンテンツを流していただけると、広告主も増えると思いますし、良い循環が生まれると思います。

五十嵐
後藤さん、地方新聞社がLoNTIを利用される際の課題は何かありますか。

後藤
やはり動画コンテンツの作成に慣れていらっしゃらないのが大きいですね。報道に関するコンテンツ作成についてはプロフェッショナルなのですが、マネタイズする動画としては何を撮ればいいのか迷われるようです。どれくらいの尺にするか、組織の人員をどれくらい割くか、といったことにも悩んでいらっしゃいます。そうしたお悩みに我々が寄り添い、一つ一つ解決していくしかないかな、と感じていますね。

五十嵐
数多ある動画プラットフォームの中で、一番反応を見やすいのがTwitterです。どれだけインプレッションしたのかをアナリティクス出来るので、そういったところで手応えを感じていただけたらと思いますね。
またAmplify SponsorshipやLoNTIは、“新聞社のフォロワーに届く訳ではない”というのも面白いところですよね。他のプラットフォームであれば、チャネルの登録者などに届ける訳ですが、Twiterの仕組みであれば、極端に言えば新聞社のフォロワーには一切Twitter広告を見せないことも可能です。こういったTwitterならでは配信システムとしての魅力も大きいですよね。

谷本
はい、そうですね。地方新聞社のメリットとして、自社アカウントをフォローしていない若年層の方に、「こんなに面白いアカウントがあるんだよ」ということを伝えられるということがあると思います。“地元出身で東京にお住まいの方にTwitter広告を表示する”、といったことが可能ですので、そうした機会に面白いと思ってもらえれば、フォロワーが増えますよね。フォロワーは企業にとって資産になるものだと思いますから、フォロワー獲得もLoNTIのメリットの一つだと言えます。

津田
Twitterは興味があるアカウントをフォローしていって、オリジナルのタイムラインを作っていくメディアです。ここに地方新聞社のコンテンツが混ざっても違和感はないと思いますし、自分が興味がある分野の広告が新聞社のアカウントから出てくるというのは自然に感じられると思います。そのコンテンツやアカウントやフォロー、クリックをして読者になることはあると思いますし、広告主もブランド価値を毀損せずに安心して広告を出せると思いますね。

高橋
私は福岡出身なのですが、やはり福岡のニュースが目に入ると見てしまうんです。地方新聞に出稿した場合は、その地方にお住まいの方にしか広告訴求が出来ませんが、LoNTIであればそれぞれの都道府県出身の方にアプローチすることが出来ます。そういった部分は大きな可能性があるところかなと感じています。

五十嵐
よく言われますが、東京はローカルエリアの集まりですよね。東京に居ながらローカルにゆかりがある方、というのは掘り起こせていない市場です。そこにアプローチ出来るのは一つの価値ですよね。

47都道府県全てでサービスを提供したい

五十嵐
Amplify Sponsorship、インストリーム広告の優れているところを教えていただけますか。

高橋
Twitterはそもそものプラットフォームの特性として、タイムラインをスクロールする際に気になるものを指を止めて見るので、視聴態度の質が高いということがあります。ユーザーは広告をしっかり認識しますし、信頼度が高いので、広告のブランドリフト効果も高いんです。

谷本
正にそこが肝ですね。広告会社は既にインストリーム型の広告を別の媒体でやっているケースも多いのですが、Twitterの場合、ブランドセーフティだというのが大きな特徴です。

津田
Twitter広告を投稿する際、システムだけでやるのではなく、目視での確認も挟みますので、より安全性が高まります。他のプラットフォームでは難しい、「特定のコンテンツパートナーにのみ出稿する」といったことも容易に実現出来ます。

五十嵐
僕らの野望としては、「LoNTIで地方新聞社のコンテンツを使っているから、通常のインストリーム広告よりも更にブランドリフトの効果があった」ということを可視化したいですね。新聞社にも、「皆さんのコンテンツはこんなに価値があるんですよ」ということを示せます。セールスも大事ですが、こういったメディアの価値を再定義するようなこともMPとしてはやっていきたいと考えています。
LoNTIをリリースしてから、お問い合わせいただく広告主として最も多いのは元々エリア重点施策などをやられていて、地方新聞に出稿されているような広告主ですね。同時に課題として分かってきたのが、全県全市の新聞社をカバー出来ている訳ではないので、ご要望に100%お応え出来ない時があるということですね。リクルーティングは引き続きやっていく必要があります。

津田
地方テレビ局で地域限定でCMを打っているような広告主に、Twitter経由で地方新聞にも広告を出してもらうように訴求していきたいですね。そういった横断的なアプローチは効果が大きいと思います。

五十嵐
今後の展望についてお話したいと思います。地方新聞社のリーチメディアとしてのパワーが減少していくのは避けられないと思いますが、2世紀に渡って培って来た一次情報を作る力、その価値が減ることはありません。ですから、これを健全にマネタイズすることが大切です。
トラディショナルメディアをデジタルで正しくマネタイズすることが欠かせない一方で、それをそれぞれのメディアが個別にやると消耗してしまいます。グロスメリットを生かしつつ取り組む必要があり、LoNTIがその一歩になればと思いますね。

後藤
私は四半世紀近く新聞に関わっているのですが、’90年代にはもう「新しい稼ぎ方が必要」と言われていたんです。LoNTIは若年層獲得という積年の課題を解決するお手伝いになるものですし、長年関わって来たものとして恩返し出来ることを嬉しく思っています。これからも新聞社のDXを様々な形で支援させていただけたらと思います。LoNTI加盟社を増やし、47都道府県制覇を目指したいですね。

高橋
私も各都道府県の加盟社を増やしたいと思っています。HDYグループの各地方支社と連携しながら、エリア案件の拡大にLoNTIが貢献できればと思います。
Amplify Sponsorshipの展望で言いますと、これまで様々なメディア、プラットフォームに関わって来ましたが、これほどいろいろなものと相性がいいのはTwitterだけだと思います。我々をハブとしてご活用いただき、いろいろな企業と協業させていただければと思います。

谷本
情報にお金を払わずにアクセス出来るようになって来たことで、情報がフラット化していくのかと思いきや、逆に分断が大きくなって来ました。アメリカの大統領選挙において、その分断や、真偽不明の情報が行き交ったことなどが話題になりましたよね。そうしたことからしても、新聞のようなトラディショナルメディアの重要性は今後益々高まるだろうと感じています。ただ、マネタイズに関する課題は解消していかなくてはならないと思いますので、LoNTIなど様々な形でどんどん協力させていただきたいと思っています。

津田
地方新聞社に広告を出稿している広告主には、Twitterを使っていらっしゃらない方も多いのではないかと思います。LoNTIがそういった方にもTwitterを使っていただく契機になれば嬉しいですね。
今回のようなマスメディアとの協業には、総合広告会社の力が欠かせないと感じていますので、これからも是非お力をお借りしたいと思っています。LoNTIに関しては、やはり全都道府県を制覇出来たら大きいですよね。東京以外の人で盛り上がるようなムーブメントを作れたら面白いと思いますので、トライしたいですね。

五十嵐 丈鑑
博報堂DYメディアパートナーズ 第1メディアビジネス総括戦略企画室/クリエイティブ&テクノロジー局
2012年、博報堂DYメディアパートナーズ入社。メディア領域では珍しい美大OB。デジタルメディアプラナーとして、特にアプリマーケティングに注力し、海外アプリ、輸入車、IT企業などを担当。その後、テレビ局担として幅広くメディア領域を経験し、現在はマスメディアとデジタルの “掛け算” を様々な角度から模索、実現。

後藤 勉
博報堂DYメディアパートナーズ 新聞局新聞3部
95年入社、約四半世紀に及ぶ会社生活の大半を新聞局でのキャリアを持つ。2010年当時担当のスポーツ紙6紙をまとめたイチロー選手の特別新聞「イチロータイムズ」や、お世話になった新聞社へのご恩返しを常に考えている。現在地方紙担当部キャップ。

高橋 佐世子
博報堂DYメディアパートナーズ プラットフォームビジネス局第三グループ
2014年、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム株式会社入社。メディアコンサルティング担当として、ソーシャルメディア、出版メディア等を担当。専門的な知識や経験を軸に、サイトコンサルティングや広告商品開発などにも携わり、未来を見据えてビジネスチャンスの拡大を目指す。

谷本 晴樹 氏
Twitter Japan Global Contents Partnarships
シニア・パートナー・マネージャー
2013年Twitter 入社。政治・ライフライン担当マネージャーなどを経て現職。とりわけ、ニュース・ライフスタイルの領域において、新聞社・出版社・テレビ各社のTwitter活用を横断的にサポートしている。

津田 裕一 氏
Twitter Japan
Twitter Client Solutions 広告代理店事業本部
エージェンシーパートナー
新卒でデータマーケティングプラットフォーム会社に入社し広告営業を経験。
2018年よりTwitter Japanに入社し、広告代理店事業本部に所属。

 

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