2022.10.24

【宣伝会議2022年9月号】 データサイエンスとクリエイティビティの融合 AaaSで実行する次世代型マーケティング

約1年半前のリリースから成長を続けるAaaS。これまで同サービスのメディアバイイングやプラニングについて解説してきたが、クリエイティブ制作においてはどのような強みを持っているのか。メディアプラナー、データサイエンティスト、クリエイターの3人の視点から話を聞いた。
(写真左)博報堂DYメディアパートナーズ 統合アカウントプロデュース局 局長代理 (兼)AaaSアカウント推進三部 部長 松浦伸二

(写真中央)博報堂 生活者エクスペリエンスクリエイティブ局 部署長 相沢理人

(写真右)博報堂 データドリブンプランニング局 部署長 宮腰卓志

メディアをデータで捉え プラニングを高度化させる

メディアをデータで捉え
プラニングを高度化させる

博報堂DYグループが2020年12月に打ち出した広告ビジネスの次世代モデル「AaaS」。プラットフォームや媒体ごとに粒度が異なるデータをDWH※に集約。同社独自のアルゴリズムで分析することにより、ダッシュボードで効果を可視化し、最適なプラニング・バイイング・モニタリングを提供している。
※データウェアハウスの略
ソリューションは、MMMによってマーケティングKPIの設定とメディア投資配分最適化を行う「AnalyticsAaaS」。投資配分の最適化でも特にニーズの多いテレビとデジタル広告を同じ指標で統合的に管理・運用する「Tele-Digi AaaS」。テレビCMの高速PDCA化を実現する「TVAaaS」。独自システム基盤を活用し、各プラットフォーマーに存在するデータを統合して可視化・運用を最適化する「Digital AaaS」の4つだ。
これまでもテレビやデジタルの分野でソリューションを提供してきたAaaSだが、昨今、デバイスを超えて視聴され、その視聴行動がより複雑化している動画広告についても対応を強化。メディアプラナーの松浦氏は、「AaaSの対応領域を拡張し、実行力にこだわっています。具体的には、対応KPIやメディア・PFデータを拡張することで、どの案件にでも対応できるフィジビリティを保有しています。直近はコネクテッドTV領域へ積極的に拡大しています」と話す。
また松浦氏によると、AaaSによって、個々のメディア価値の定量的な把握が実現し、プラニングの精度も向上。個々のメディア価値だけでなく、マーケティング目標に対するクリエイティブの貢献度も評価が可能になっているという。

広告がスキップされる時代に クリエイティブに必要な因子

広告がスキップされる時代に
クリエイティブに必要な因子

広告主の動画広告活用が増えてきているとはいえ、実際に動画が事業にどの程度貢献しているかどうかはまだ事業会社の担当者の感覚で測られていることも多い。しかし、AaaSソリューションのひとつ「AnalyticsAaaS」では、動画の事業成果への寄与は定量的に把握できるとデータサイエンティストの宮腰氏。これまで不確定要素の多かったクリエイティブについても、「Analytics AaaS」で分析することで、事業貢献に繋がるクリエイティブの共通項が見えてきているという。
「『Analytics AaaS』では、量(メディア)と質(クリエイティブ)の2つの観点から動画広告の事業貢献度を可視化しています。事業貢献という指標でメディアとクリエイティブを評価すると、クリエイティブパワーがメディアの効果を左右しているとわかったのです。広告がスキップされてしまう今、クリエイティブのアテンション力が鍵といえます」(宮腰氏)。
例えば有名タレント起用やインパクトのある歌はアテンション力を高めると言われてきたが、「AnalyticsAaaS」の分析結果から、こうしたクリエイティブの方法論が定量的に説明できるようになったという。「分析でできるのはクリエイティブジャンプするための、70%の確からしさを足固めすること。AaaSはこの70%をサービスとして提供することで、残りの30%の費やすべきクリエイティブジャンプに時間を割けるようにするのです」(宮腰氏)。

クリエイターがデータに向き合い 新たな可能性を探索する

クリエイターがデータに向き合い
新たな可能性を探索する

プラニング、バイイングにおいて高度なPDCAを回してきたAaaSは、クリエイティブ開発にも寄与しているとクリエイターの相沢氏。
「AaaSでのクリエイティブ制作は、データを分析するところからクリエイターも一緒に参加します。そこにクリエイターが介在する意味は、データのどこに注目し、どう解釈するか、という見立てのクリエイティビティも重要になるからです。過去の“正解”だけにとらわれず、経験や感覚から導かれる仮説との両睨みで、次の潜在能力を発掘する。信じられる根拠と大胆な仮説を柔軟に行き来し、さらに実証を繰り返していくことで、クリエイティブの理想を追求することができます」(相沢氏)。
同社の強みは、社内クリエイターとのワンチームで体制を構築できること。AaaSソリューションを用いて、データ分析の専門家とクリエイターが融合することにより、組織全体でデータドリブンなクリエイティブ制作を実現することができる。

データ分析に留まらない 仮説を立て続け、未来を捉える

データ分析に留まらない
仮説を立て続け、未来を捉える

また、AaaSの強みに“常時接続型のサービス提供”がある。これは広告主とマーケティングデータやメディアデータを共有する基盤を構築して常に広告主のKPIにコミットし続けるということ。これにより、広告主も煩雑な進捗管理から解放され、データから仮説を考える時間が増えたと宮腰氏は話す。
「分析はレポートで終わってはいけません。分析し、仮説を立て、テストを行い、検証するという行為を繰り返すことで、理解しながら前に進むことができます。つまり過去のデータから最適なクリエイティブを組み立てるのではなく、今起きていることから仮説を立て、試し、最高のパフォーマンスを発揮するクリエイティブを模索していく。常時接続で仮説を立て続けられる環境を構築し、『次はどう仕掛けるか』と、未来を捉える仮説思考でクリエイティブ制作が議論できるのもAaaSのメリットだと思っています」(宮腰氏)。
広告主、プラナー、クリエイター、データサイエンティストが揃って広告・マーケティング活動の最適化に取り組むことでさらなる成長を遂げるAaaS。今後もさらにカバレッジを拡張し、より時代をリードするマーケティングサービスを提供していくという。
※本記事は宣伝会議 2022年9月号に掲載されたコンテンツを転載したものです
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