スパイクス2017のミュージック部門の審査委員長を務めたTBWA\HAKUHODOの佐藤カズー、アウトドア&ラジオ部門の審査員を務めた博報堂の三浦竜郎、メディア部門の審査員を務めた博報堂DYメディアパートナーズの嶋田三四郎に、各部門の審査基準や今年の受賞作品の特徴などについてインタビューしました。第3弾は、嶋田三四郎です。

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■メディア部門
嶋田三四郎
博報堂DYメディアパートナーズ
メディア・コンテンツビジネスセンター
エグゼクティブ マネージャー

―今年のメディア部門の審査基準についてお聞かせください。

メディア部門は、ある意味、非常に左脳的な審査空間だったというのが第一印象です。そもそも“メディア”というものがどの部門にもかかわっているものなので、ではメディア部門の定義は何なのか?という問いからスタートしたわけですが、結局明確な答えは得られないまま審査がスタートしました。

では何を審査のよりどころにしたかというと、「インサイト&アイデア」「ストラテジー&ターゲティング」「エグゼキューション」「リザルト」という基本的な4つのクライテリア(審査基準)です。具体的に言うと、インサイト&アイデア30%、ストラテジー&ターゲティング20%、エグゼキューション20%、リザルト30%のバランスが保たれているかを問うことになったわけです。そのせいか、ワンアイデアが強すぎるなどバランスが悪いと判断されたものは、ショートリストまでは残るもののその先の色はつかないということもありましたし、リザルトの数値的な部分をやたらと掘るような、とにかく細かい議論が多かったように思います。審査員経験の浅い自分としては、これがスパイクスのメディア部門なのか……と洗礼を受けたような形でした(笑)。

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―メディア部門のグランプリ作品と個人的に印象的だった作品は?

そういった審査を経て、グランプリを獲ったのはメルボルン大学の「MADE POSSIBLE BY MELBOURNE」です。これは、メルボルンの街の各所に展示スペースを設置し、メルボルン大学で行われているさまざまな最先端科学技術の研究成果を展示、紹介するというもの。展示の内容がよりわかるように体験型になっていて、バスを運行させてオーディオツアーを行ったりと、街全体を大学に見立て、その中で学園祭、オープンキャンパスが行われるようなもので、まさに総合力での受賞だったかと思います。また、ゴールドには日本の神戸新聞が地震への備えを訴えた「避難所もっとより良く非常袋」が残りました。新聞の使い方という視点と、神戸新聞自体のブランディングとしても高く評価できましたし、日本人としても自然と説明に力が入るものでした。

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メルボルン大学「MADE POSSIBLE BY MELBOURNE」(MCCANN・オーストラリア)
URL: https://www.spikes.asia/winners/2017/media/
(注)動画URLは、公式サイトで一定期間閲覧可能。

また、自分が個人的に好きだったのは、ナイキの「REINVENTING THE ATHLETE TOUR」。ケヴィン・デュラントというNBA選手をモデルにしたゲームがあるのですが、ケヴィン・デュラント自身もこのゲームをよくやっているゲーマーなんですね。これは、オンライン上でナイキの靴を買うとトーナメントに参加でき、最終的に勝ち残ればケヴィン・デュラント本人とゲームで対戦できるというキャンペーンです。面白いのは、ゲームの様子をスポーツチャンネルのオンラインでライブストリーミングし、実況もちゃんと付くということ。普段のナイキらしい温度でやるのではなく、非常にメディアコンテンツらしい仕掛けが施されていると感じました。実は僕自身もこのゲームのファンなので、非常に熱く語ったのですがあいにくシルバーどまりでした。

―スパイクスなど広告賞の意義とは?

僕自身、若い世代にいつも言っているのは、海外の広告賞に行き、自分のクリエイティビティの源を探してほしいということ。賞を獲っているかどうかはそれほど重要ではなくて、自分はどんな作品、傾向が好きなのかを見つけに行ってほしいということです。先入観なしに好きだと感じた作品を並べてみたら、実は面白い系に惹かれることがわかったとか、社会貢献系に意外と興味があるんだとか、発見があると思う。自分がこだわるポイントを探すためにも、賞の色ではなく、とにかくできる限りエントリーされたものを見たり、調べたりしてほしい。また、メディアパートナーズの立場から言えば、さまざまなビジネスのヒントを見つけることができる場でもあります。ショットで終わってしまっているキャンペーンだったら、どうやったら持続できるエコシステムになるのか?といった視点で考える訓練にもなる。広告賞は広告会社の人間にとって、そういう学びが詰まった場所だと思います。

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