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生活者はアスリートをどのように見ているのか ~29のオリジナルイメージから紐解く、アスリートの本当の魅力とは?~
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■ アスリートイメージ評価調査の概要 ■

アスリートの実力は「結果」で明らかになる。しかし、その他に評価する指標がないのはどうしてなのだろうか?明らかにタレントとも違う魅力があるはず。そうしたアスリートの魅力を客観的に評価し、広告主にアスリートキャスティングの提案をする際に活用できるデータが必要ではないか。これが、「アスリートイメージ評価調査」誕生のきっかけです。
アスリートの持っているイメージといっても、その競技で「結果」を残すことが第一で、懸命にトレーニングして完璧な準備で競技に臨んだとしても、「結果」が出せなければ評価されない厳しい世界。しかし、そこに至るまでの努力や苦悩があり、それが見ている人を感動させることにもなり、そこに惹かれるファンも多いと思っています。 今までになかった観点から「アスリートのイメージ」を調査することで、アスリートの魅力や存在感を明らかにし、競技の魅力を違った視点から伝え、さらにはアスリートキャスティングの可能性をもっと広げたい、という思いがありました。

「アスリートイメージ評価調査」は、博報堂DYグループが独自に開発した29のイメージ項目でアスリートを評価しているものです。2008年から調査を開始し、年4回調査しており、2015年4月2日に発表した調査が29回目。博報堂DYメディアパートナーズグループのアスリートイメージ評価調査チーム(※) 武方・市川・大足が中心になって実施しています。認知、好意等のイメージ29項目において、毎回50名のアスリートに対して評価しています。アマチュアのアスリートや、まだブレイクしていないプロアスリートも対象にしており、今後ブレイクしそうなアスリートを広告主等に提案することができますし、ブレイク後のイメージ変化を検証することもできます。この調査は、スポーツ全般、アスリートキャスティングに詳しいメンバーの意見等を参考に、プロジェクトチームで運用しています。まだブレイクする前の錦織圭選手や高梨沙羅選手を調査してきたことは、広告主からのご要望に応えることにもつながっていると考えています。

(※)株式会社博報堂DYメディアパートナーズ株式会社博報堂DYスポーツマーケティングデータスタジアム株式会社

■ アスリートイメージ評価調査の結果から気づいたこと ■

アスリートは競技の「結果」をもって評価されるのは当然の事ですが、キャスティングに関して言えば、「結果」だけに拠らない“+α”の評価が必要だと考えています。アスリートイメージ評価調査では、「常にチャレンジ精神を持ち続けている」「生き方や発言に共感できる」「精神的強さを感じる」といった競技に取り組む姿勢に関するイメージ項目でもアスリートをとらえています。これらの項目を構成する要素として、競技結果だけではなく、競技に臨む準備や競技が終わったあとのインタビューの受け答え、日頃の行動等も大きく影響を与えていると考えます。最近のアスリートは、試合後のインタビュー等にしっかり受け答えできる人が多いと思いますが、「今後も応援したい」と思わせるアスリートはこの“+α”を兼ね備えていると考えます。
アスリートは、成績が悪い時に「もうダメだ」「期待できない」といった悲観的な論調で報道される時がありますが、調査結果を見ると、競技の「結果」とは対照的にイメージ項目が上昇しているアスリートもいます。例えば、ソチ五輪における浅田真央選手。勝つことが期待されている中、ショートプログラムの「結果」が悪い時には悲観的な報道も見られました。しかし、フリープログラムの素晴らしい演技でファンの期待に答えました。総合成績ではメダルに手は届きませんでしたが、その後の調査でも、常に上位にランキングされています。調査結果を見ると、逆境をはね返した浅田選手は、ファンの期待に大きく応えたと言えるのではないでしょうか。「+αがあるアスリート=人気がある、魅力がある、応援したい」ということにつながっている例だと考えています。

■ 最近のアスリートイメージ評価調査の傾向 ■

それでは最近活躍しているアスリートの傾向を、実際の調査データから時系列で見てみましょう。

【錦織圭選手】
錦織選手は元々才能ある選手として注目されていましたが、2014年の活躍、特に全米オープンで準優勝した事によって、ATPランキングでは一時世界4位にまで順位を上げ、ついにテニス界のトップ選手の仲間入りを果たしました。
錦織選手が初めてツアー優勝を果たした2008年に、初めて同選手の調査を行っています。イメージ項目で見ると、2014年に大きく数値が上がったのは、「存在感がある」「人を惹きつける魅力がある」「常にチャレンジ精神を持ち続けている」「精神的強さを感じる」「勢いを感じる」「夢や感動を与えている」等の項目です。
一方で、「かっこいい」「パワフルな」「テクニックがある」といったようなアスリートとしてのフィジカルな部分は2008年当時から数値の高い項目ではありましたが、これらについても2014年には上昇していることが分かります。

【羽生結弦選手】
羽生選手は、2014年ソチ五輪で男子フィギュア初の五輪金メダルを獲得し、今年のシーズンも怪我に悩まされたものの、男子フィギュア界の話題の中心であり続けました。
アスリートイメージ評価調査では2011年から羽生選手を調査対象としていますが、2013年まで認知度も7割止まりでした。記憶に新しい昨年2月のソチ五輪での金メダル獲得の後は認知度が9割を超え、ほとんどの人が知るアスリートとなりました。イメージ項目の数値も2014年に急上昇しており、「国際性がある」はもちろん、「存在感がある」「人を惹きつける魅力がある」「精神的強さを感じる」「夢や感動を与えている」の数値が高くなりました。

【高梨沙羅選手】
ソチ五輪では惜しくもメダルの獲得はなりませんでしたが、高梨選手は今後も冬季スポーツで期待されるアスリートの一人です。アスリートイメージ評価調査では、2011年より調査対象としています。
2011年当初の認知度は約1割止まりでしたが、2012年に世界ジュニア選手権で優勝し、頭角を現し始めた2012年以降、認知度も約3割(2012年)→約6割(2013年)→約8割(2014年)と著しく上昇しました。2014年では、2012年~2013年に比べて常に勝っているイメージが定着したためか「勢いを感じる」の値はやや低くなりましたが、「テクニックがある」「常にチャレンジ精神を持ち続けている」「夢や感動を与えている」等の項目は特に下がることはなく、依然トップアスリートとして認識され続けている事が分かります。また、「純粋」「誠実な」等の数値も上がっています。

【イチロー選手】
イチロー選手は、2008年の調査開始時から7年間安定して様々な項目の上位を維持しています。故障者リストに入り、活躍できなかった年もありますが、不調な時、活躍していない時期でもイメージ項目は変わらず高く、「知性的な」「存在感がある」「食やトレーニングに対する意識が高い」「常にチャレンジ精神を持ち続けている」等、29のイメージ項目の中でも多くの項目で常に1位を維持しています。また、好感度も常に9割前後で推移しており、どんな時でもアスリートとして常に準備を怠らない姿勢に強い共感が得られているようです。2015年度からは、マイアミ・マーリンズへの所属が決まりましたが、イチロー選手の行動や活躍、発言に関しては今後も常に注目が集まっていくことと思われます。

■ 今後のアスリートイメージ評価の目指すところは ■

兼ねてから錦織選手や高梨選手に関して調査をしてきたことは先述の通りですが、同様に今後もアスリートイメージ評価調査チームとして、新たな新進気鋭のアスリートに注目し、キャスティングに関するアスリートの「兆し」を可視化していきたいと考えています。
例えば直近の調査では、浅田真央選手が不在、高橋大輔選手や町田樹選手が引退した今季フィギュアスケート界の中で優秀な成績を収めている宮原知子選手や本郷理華選手、宇野昌磨選手、また、かつて箱根駅伝で活躍し東京マラソンで上位に入った今井正人選手等を調査対象としています。
もちろんMPのビジネスの一助としてデータを活用していく目的もあるのですが、この調査を通じて、世の中における、アスリートに対する見方や印象の変化も、今後引き続き明らかにしていければと思う次第です。

(最新のリリース)
第29回 アスリートイメージ評価調査

市川 修平 データドリブンメディアマーケティングセンター メディア・コンテンツマーケティング部

2007年博報堂DYメディアパートナーズ入社。新聞局にて大手新聞社を担当した後、iメディア局に異動し、伸長著しい運用型広告の業務領域に携わる。統合コミュニケーションに携わる現職のほか、メディア環境研究所にも複属している。

※執筆者の部署名は、執筆時のものであり現在の情報と異なる場合があります。

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