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モバイルシフト【もばいる しふと】
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博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が2006年より実施している「メディア定点調査」の2015年東京地区の調査結果で、全メディア総接触時間(「新聞」「雑誌」「テレビ」「ラジオ」「パソコン」「タブレット端末」「携帯電話/スマートフォン」の7メディアの合計接触時間)の内、「タブレット端末」と「携帯電話/スマートフォン」という2つのモバイル端末の接触時間が、初めて全体の25%を超えたことを契機に名付けられた、生活者のメディア行動変化の大きな方向性を表す言葉。

2015年東京地区の具体的な数字は、全メディア総接触時間383.7分(2014年385.6分より1.9分減少)。各メディアは、「テレビ」152.9分(2014年156.9分より4分減少)、「ラジオ」28.9分(同30.5分より1.6分減少)、「新聞」19.9分(同23.4分より3.5分減少)、「雑誌」13.0分(同13.6分より0.6分減少)、「パソコン」68.1分(同69.1分より1.0分減少)、「タブレット端末」20.6分(同18.2分より2.4分増加)、「携帯電話/スマートフォン」80.3分(同74.0分より6.3分増加)となった。

「テレビ」「ラジオ」「新聞」「雑誌」の4マスメディアに加え、これまでネットメディアの接触時間増をリードしてきた「パソコン」は2011年の80.7分をピークに減少傾向にある。また、「タブレット端末」と「携帯電話/スマートフォン」という2つのモバイル端末の接触時間増、特に「携帯電話/スマートフォン」は2006年調査開始時の11.0分から2015年80.3分まで調査対象7メディアの中で唯一、一貫して接触時間が増加傾向にあることも、「モバイルシフト」傾向が今後も強まることを示唆している。

これまでの「4マス対ネット」という対比ではなく、これからは「モバイル対非モバイル」という捉え方をすることが、生活者のメディア行動把握には重要になってくると思われる。

グラフ

※「JAAA REPORTS」より転載

吉川 昌孝(よしかわ まさたか) メディア環境研究所 所長代理

1989年博報堂入社。マーケティングプラナー、博報堂フォーサイトコンサルタントを経て、生活総合研究所に着任。未来予測プロジェクトのリーダーとして「態度表明社会」(2009年)「総子化」(13年)「デュアル・マス」(15年)等、生活者とマーケティングの未来像を発表。15年より現職。著書に「亜州未来図2010」(03年)「『ものさし』のつくり方」(12年)などがある。 30年以上Rolling Stonesのファン。最近は大森靖子のライブに足繁く通っている。

※執筆者の部署名は、執筆時のものであり現在の情報と異なる場合があります。

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