博報堂DYメディアパートナーズ メディア・コンテンツビジネスセンター 嶋田三四郎です。

今回は「ACC CM FESTIVAL」を前身に、今年からリニューアルした「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」で新設された「メディアクリエイティブ部門」の審査員を通じて感じた事を皆様にお伝え出来ればと思い、このコラムを書かせいただくのですが…

まず言いたいのが、「とにかく刺激があって、面白かった!」という事です。

エントリー作品を見ていると、「なるほど、こうきましたかー?!」「これは思いつかなかったなー」という”左脳的感覚”と、ビデオを見ながら思わず涙が出てしまう感動的な作品に心を動かされる“右脳的感覚”が共存する審査の楽しさ……
審査委員長の小山薫堂さんをはじめ、広告主の皆様、メディアの皆様、エージェンシーの皆様という豪華なメンバーでバトルロイヤル的に「メディアとは何か?」そんな事を語り合う議論の楽しさ……

このポジティブなテンションこそが、「メディアクリエイティブ部門」らしさなんだなと感じた次第です。

■そもそもどんな部門で、立ち上がった背景は何か?

「メディアを起点とした広告コミュニケーションの新しい仕掛けや取り組みを掘り起こし、ACCとして評価し、メディアクリエイティブ領域の活性化を狙う。」という事が目的で、審査の基準は、「メディアのアセットを活用したクリエイティビティにより、新たな情報発信・コミュニケーションを実現し、広告主の課題解決に貢献したもの」という内容なのですが、この部門の設立背景を少しお話します。

いわずもがな、メディアを取り巻く環境、オーディエンスのメディア接触環境は“激変真っ只中!”
そんな中でいわゆる「勝ちパターン」がなくなっているからこそ、「メディアの新しい使い方は?」「メディアらしいクリエイティブとは?」など、禅問答のような答え探しが日々行われている…
時代感からすると「デジタル」「ソーシャル」とよく言われますが、それが主役かというとそれも違うし、既存のメディアも未だ力を持ち続けていて、メディアの強みをうまく使ったクリエイティビティによる、新しい情報発信やコミュニケーション創造が様々な課題解決に寄与している…

そんな「メディア × アイデアのチャレンジ」がたくさん生まれている中…それを評価する場が国内にはどこにもなくない?
それが、この新部門設立の大きな要因です。

それと同時に、重要だったのが、「モチベーションの向上」という視点。広告のアワードというと、クリエイターが評価される場という印象が強いし、メディアのアワードというと「ギャラクシー賞」のようなコンテンツの話になってしまう…なので、メディアを使ったコミュニケーションを創る全てのプレイヤーの方々に光をあてる!そんなアワードにしていく事も、もう1つの側面だったわけです。

■どんな作品が受賞して、審査のポイントは何だったのか?

応募数148本の中、ゴールド3作品、シルバー4作品、ブロンズ5作品、エリア&コミュニティ賞4作品、ファイナリスト9作品という結果でしたが想像以上に面白い作品があったと思います。 

そして、国内では賛否両論の声があがりやすい海外広告賞の「メディア部門」の受賞作品よりも、この部門での受賞作品は「すぐに使えそう!」な実際の仕事との接点というリアリティがある作品が多いので、是非皆様にチェックしてもらいたいです!

※入賞作品一覧はこちらをご覧下さい。
http://www.acc-awards.com/festival/2017fes_result/mc.html

「ではここで、全ての作品をご紹介!」といきたいところですが、語りきれなくなってしまうので、今回はゴールドの3作品のポイントを紹介させていただきます。

(1)RBCおきなわ健康長寿プロジェクト「歩くーぽん」

「歩かない・運動不足」という沖縄の社会課題に対して、「歩けば歩く程お得なクーポンがもらえる」アプリを軸に、テレビCM等の放送局全体のプロジェクトとして、地域の人に呼びかけを行い、店舗に集客していくといったO2O2Oを見事に実現した“アイデア性”。

(2)INTERACTIVE LiVE CM

「テレビCM=見るだけ」という当たり前をあえて崩し、「参加するモノ」という新しい価値に昇華させた“チャレンジ性”。

(3)オロナミンC『20年分のありがとう新聞』

新聞を「マスメディア」から「自宅に配達されるパーソナルメディア」という軸をずらした発想かつ、人間の成長という20年の時空を一瞬で超える新聞にしか出来ないクリエイティビティで表現する“感動性”。

など、「メディアの特性 × アイデア」でオーディエンスに様々な“読後感”を残す作品がゴールドを受賞しましたが、グランプリは、「該当作なし」という結果でした。これは「メディアクリエイティブ部門は、もっと可能性がある!」という意味での「あえて…なし」という審査員一同からのメッセージです。
なので、来年度、初代グランプリを取れるチャンスが皆様にもあると言う事なので、是非チャレンジして欲しいと思います!

■最後に

今回、審査を通じて、様々なメディアを使った新たなチャレンジに出会い、自分自身たくさんの刺激をもらいました。メディア毎の特性に、アイデアが重なる「クリエイティビティ」が、「ブランド」と「メディア」と「オーディエンス」の間に「ハーモニー」を生み出し、世の中の人を動かす!…それが「メディアのチカラ」という事を今一度自分の心に刻む事が出来ました。

この「メディア・クリエイティブ部門」が、メディア同士のコラボレーションの場になり、従来のセオリーを超えた無限のクリエイティビティが生まれる部門に進化していく事を願うと同時に、メディア・コンテンツプロデューサーとしては、グランプリを取れるレベルの作品を創造してみせる!

そんな思いが巡った「ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」でした。

◆プロフィール

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嶋田三四郎(しまだ さんしろう)
メディア・コンテンツビジネスセンター

メディア・コンテンツの特性を活かしたクリエイティビティを軸に、商品・ブランドコンセプト開発、広告キャンペーン開発、CM・グラフィック開発、テレビ・ラジオ等番組プロデュース、メディアPR、WEB・イベントプロデュース等生活者との全ての接点をメディアと捉え、企画をプロデュース・実行するチーム「concreat」を率いる。

★「2017 57th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」の贈賞式・記念パーティが開催されました

11月1日(水)に「2017 57th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」の贈賞式・記念パーティが開催されました。博報堂DYグループからは、フィルム部門Aカテゴリー・フィルム部門Bカテゴリーにて総務大臣賞/ACCグランプリを受賞したメンバーが登壇いたしました。
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「2017 57th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」公式サイトはこちら

【関連情報】
博報堂グループ、および博報堂DY メディアパートナーズは 「第57回 ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」にてグランプリなど受賞 ―全体で32 の賞を受賞―