コラム
メディア・コンテンツビジネス
デジタルで拡がる雑誌広告のこれから
COLUMNS

加速度を増してデジタル化が進行する現在のメディア環境にあって、
紙という枠組みだけに囚われない、雑誌メディアならではの活用の可能性とは一体何か。
雑誌局業務推進部近藤秀之部長が、すでに顕在化しているさまざまなメディア環境をベースに、
雑誌メディアの今後の可能性について,9月11日開催の公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会雑誌委員会セミナーで語りました。

 

雑誌メディアの新しい可能性とは

皆さんすでにご存知かもしれませんが、現在の雑誌広告市場は2000年時と比べおよそ半分。
苦しい状況が続いています。
そんな広告市況の中で目立つのがタイアップ広告の増加です(図1参照)。

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弊社の推計で雑誌広告全体の4割近くがタイアップであるというデータもあるほど雑誌広告の中でそのシェアは拡大しています。つまり雑誌全体を通して、いわゆる枠ビジネスはまだ存続しつつも、よりブランデッドコンテンツの運営ビジネスの方がニーズが高まっているのではないかとも感じています。

雑誌はいまや、コンテンツ開発、もしくはコンテンツ開発を運営していくメディアと言えるのではないでしょうか。
今日は、そうしたコンテンツ開発力がある雑誌広告だからこそ提供できるデジタルビジネスの可能性とは何かを考えていきたいと思います。

タッチポイントの拡張性について

まず挙げておきたいのは、雑誌が持つタッチポイントの、高い拡張性についてです。
雑誌広告は他のメディアと比較しても、広告メディア(ペイドメディア)、PR メディア(アーンドメディア)、自社メディア(オウンドメディア)のトリプルメディアにおいてより自由な拡張性を有していると考えています。
雑誌を基点にしながら、誌面を超えたコミュニケーションの設計が出来るのです。
これまでもいわゆる「クロスメディア発想」で、雑誌のコンテンツが出版社サイトや新聞広告、交通広告など他メディアと連動する動きはすでに広がっていますが、ここで重要なのは、近年においては最初からデジタル、特にスマートデバイスでの接触にあらかじめ最適化されたコンテンツ展開事例が増えてきているということです。
こうした事例やニーズの高まりの背景にあるのは、露出度や到達量だけではなくて、雑誌が持つ確かな取材力と高い企画力へのニーズの高まりだと考えています。
誰もがさまざまなオープンメディア環境で情報発信できる反面、より質の高い情報が必ずしも多くない中で、雑誌の持つ高質な情報が、信頼のおけるリソースとしてコンテンツづくりに求められているのではないでしょうか。
デジタルによってトラフィックをいかに獲得するかというだけではなく、特に態度変容を目的としたプレミアム広告などに、出版社の持つ企画力、コンテンツは大きな可能性を持つのではないでしょうか。

雑誌の「キュレーション力」が生み出す高質な情報

雑誌の拡張先の一例としてわかりやすいのはキュレーションサービスです。
雑誌は本来キュレーションメディアでもあるので、両者の親和性は非常に高い。実際に、雑誌をリソースとし、雑誌の世界観を損ねることなくコンテンツを表現し、それを大きな強みにできているキュレーションサイトもあります。
また、雑誌のキュレーション力が企業のオウンドメディアへのコンテンツ提供に生かされている例も多々あります。
弊社がオウンドメディアへのコンテンツ提供をプロモートさせていただいている「オウンドエディター」というソリューションがあります。ある住宅メーカーのサイトで、弊社が運営を担当、出版社が情報提供しセンスのよいライフスタイルを紹介するという事例です。
情報提供元はすべて雑誌の編集部。
これはまさに雑誌が持っている「キュレーション=情報を選ぶ力」を活かした例です。
非常に深い業種理解と確かな時代感覚をベースにしているからこそ、こうしたキュレーションマッチングが自然にできるのだと考えています。更に納品して終わりではなく、納品した時点を始まりとし、毎日更新させていく。こうしたコミュニケーションタイムラインの変化に応じたコンテンツ提供も大きなポイントとなります。

出版360°モデルとは

出版社には「編集力」「作家」「キャラクター」「読者会員組織」…などのさまざまなプロパティ(資産)があり、これを私どもは「出版360°モデル」と呼んでいます(図2参照)。
これらをどのように活用していくかが、今後の雑誌広告の発展のキーを握っていると考えています。

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また、特に誌面にこだわらず、テレビやラジオ、ウェブの制作会社などと連携するなど、異なるメディア同士のネットワークづくりも進んでいます。
人のメディア化が進む中、オープンメディア環境のなかでソーシャルメディアや人をどうコーディネートし、いかにそれらにマッチしたコンテンツを開発するか。そこに出版社が内包する力は非常に大きいのではないでしょうか。
広告がカバーするユニットは拡大しています。
これまでは主だった静止画に代わり、動画コンテンツのニーズも非常に高まっています。
弊社ではクリエイティブエージェンシーのTUGBOATとタッグを組み、動画に特化した企画ディレクションや編集などをトータルソリューションとして提供する「dougat project(デュガ・プロジェクト)」というサービスを立ち上げました。
出版社さんにも是非活用していただきたいと思っています。

どこよりも課題に向き合う雑誌は必ず進化する

優れたコンテンツを、如何にその世界観を損なうことなくデジタル上で拡散し、
特にスマートデバイスを中心としたタッチポイントで最適化していくか。
その事が重要性を増していき、かつ今後の雑誌ビジネスの可能性を拡げていくのだと考えています。
雑誌は課題が多いと言われますが、
雑誌ビジネスに携わる一員として雑誌メディアはどのメディアよりも先に課題に向き合っているからこそ、必ず新たな進化を遂げると確信していますし、そう強く願っています。

■ 関連リンク ■

公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会

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流行を創り出す雑誌の編集力で広がるビジネスの可能性

近藤 秀之 雑誌局 業務推進部

読売広告社から、2003年博報堂DYメディアパートナーズへ。一貫して雑誌メディアビジネスに携わる。雑誌メディアを軸にしながら様々な業態、商品ジャンルのコミュニケーションに携わる。雑誌に加えデジタル広告分野についても黎明期より積極的に取り組んでいる。

※執筆者の部署名は、執筆時のものであり現在の情報と異なる場合があります。

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