コラム
データドリブン
得意先企業の事業成果にコミットする次世代型メディアプランニング【第二回】 -メディア部門の中にあるプランニング組織に求められる専門性とその多様な仕事領域に迫る-
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「なぜ、メディア部門のプランニング組織なのに従来のメディアプランニングの枠を超えた様々な“プランニング”を行っているのか?」博報堂グループの中でも、そんな疑問の声をよく聞きます。マーケティングプラナー、データサイエンティスト、クリエイター、そしてメディアプロデューサーまで、多様な人材が集まるこの組織、「博報堂DYメディアパートナーズ データドリブンプラニングセンター」が実際に“どんな仕事”を行なっていて、“どんな課題意識”を持ちながら取り組んでいるかについて、普段、最前線で事業やコミュニケーションのプランニングを行っているメンバーに語ってもらいました。

【第一回】-メディアプランニングの次世代化を推進する「データドリブンプラニングセンター」とは?
【第三回】-データアナリストから見たデータドリブンプランニングの今

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写真右から)博報堂DYメディアパートナーズ データドリブンプラニングセンター メディアプラニング三部 メディアプラニングディレクター 岩佐 和幸、データドリブンプラニングセンター データドリブンマーケティング一部 ストラテジックプラニングスーパーバイザー 菅 裕紀

◆アカウンタビリティ◆

岩佐:よろしくお願いします。と言っても、普段よく一緒に仕事している間柄だから、ざっくばらんにお互い考えていることを話そうか。

菅:そうですね。席もめちゃくちゃ近いところに座ってますもんね(笑)
では僕から早速聞きたいんですけど、もともと岩佐さんは、今やられているメディア領域の仕事に興味があったんですか?

岩佐:もともと営業職出身で、最初は新規のクライアント開拓や、広告制作の仕事が多かったんだけど、自動車会社のメディア担当になって、そこからメディアのプランニングやバイイングの領域にどんどん入っていったかな。その中で、大きなお金が動く領域でもあるから、データによる透明性やアカウンタビリティを強く意識するようになった。それがきっかけかな。

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メディアプランニングって、色々なツールやソフトに条件入れたらガラガラポンで出てくるイメージがあるけど、もっと得意先用にカスタマイズしたいし、個別の課題に応えたいから、当時からマーケティング課題に近い指標で各媒体の効果曲線を自分で作って媒体間の投資配分を最適化することをやっていた。
菅君こそ、むしろなんでここ(メディア領域)にいるの?マーケティング局(ストラテジックプラニング職)だったよね?

菅:そうですね、もともとクライアントのコミュニケーション戦略の立案のための市場調査や商品開発のサポートなど、いわゆる「マーケティング局の仕事」をやらせてもらっていたのですが、ある時クライアントの中国市場での販路拡大に伴う宣伝予算の投資計画を作る仕事をさせてもらいまして、そこがメディア業務との出会いになります。日本と違って、400都市ほどの拠点に対して、どう効率的に宣伝支援を最適配分するかということで、シミュレーターを自前で開発しながら現地のメディア事情を加味して、年間の投資プランを作っていました。
僕もその中で、自分が立案した戦略やプランの実効性や効果予測にもっと責任を持ちたいと思い、アカウンタビリティが最も求められるダイレクトマーケティングの領域を志望して、そのまま今に至ってますね。ダイレクトビジネスって売り場=メディアだし、そこでの売上がすぐに可視化されるから、投資対効果について責任を持たなければいけないし、実際に持てるんですよね。だから、ストプラ職の僕が今メディアサイド(博報堂DYメディアパートナーズ)にいるのは必然というか、求めているものがここにはある、と思っています。
反対に岩佐さんこそ、メディアをすでに担当していた中で、なんでこの部署に異動してきたんですか?

岩佐:メディアプランニングは、もともと予算内での効果を最大化させる仕事だから、効率化をどんどん求めて行く作業になるんだよね。例えば自動車だと、店頭送客数や資料請求数を設定した金額の中で効率的なビークルや投下パターンを探して行くことが多い。だけど、最近は効率化を追求しすぎるあまり、そもそも獲得するユーザーのパイがなくなってきて効果が落ちてきたりと、このままだとシュリンクモデルになってしまうから、今は各社で来場数を最大化することからブランド回帰の方へ揺り戻しがきている。

菅:それ、すごいわかります。効率化追求だけを求めると“焼畑農業”になっていく感じというか。

岩佐:そう。そうなると、もともとあるブランド力の有無が勝負を決することになったりするんだけど、その時に、クリエイターのビッグアイデア頼みのブランディングだけではなくて、きちんとメディアデータなどの“バッグエビデンスのある拡張プラン”をメディアプランナー側からやらないといけないな、と思ってここにいる。

◆効率化からの脱却◆

菅:なるほど。そもそもコミュニケーションの領域だけでなくて、事業そのものに革新性をもたらそうとするクライアントが多い中で、メディアやコンテンツを活用することで、よりビジネスがスケールすることだってありますしね。
僕も過去の実績から基づいた施策効果のシミュレーション値がどうしても目標値に達しない時、効率化の限界を感じます。なので、最近はメディアやコンテンツの価値を高めつつ、それをクライアントの戦略の中に落とし込んでいったり、そもそも媒体社と事業開発をやったりもします。

岩佐:ECの店長とかもやっているよね?

菅:はい、出版社のECの運営を全部一任させていただいています。これも出版社さんが持つ読者基盤を最大化するためにやっています。
リーチ媒体としてみた時、雑誌の”リーチ力”ってなると電波系の媒体の方が強いですが、彼らの顧客(読者)との絆は相当強いですし、そこにデジタルを活用すればその絆をビジネスにしていくことだってできる。通販モデルでは販管費(とくに広告費)が利益を圧迫することが多いですが、一緒になっている出版社さん自体が媒体ホルダーなので、そこのリスクとコストをヘッジしていたりします。

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岩佐:それも、P/Lや事業数値の予実分析を行った上での、“バックエビデンスありきのビジネス開発”だよね。コミュニケーションプランニング以外の領域だけじゃなくて、事業開発と運営までやって、菅君なりにアカウンタビリティを背負っているんだろうね。

菅:はい(笑)。でも、事業運営側を経験させてもらうと、視点や視座も増えますし、クライアントの戦略立案にも活きてくる。
岩佐さんも、色々なことやってるじゃないですか?もはや、メディアプラナーだけではないですよね(笑)。

岩佐:確かに。この前、ある案件で、もともとは店舗型ビジネスのクライアントからメディアの提案してほしい、というブリーフをいただいて、最終的にアプリ開発の提案をしたな。
課題が認知とか賑やかしじゃなくて、そもそものユーザー体験だったので、まずは予約システムを整備してCRM施策を整えた上で、そこからようやく広報・宣伝領域のステップだと考えたんだよね。

菅:まさに、4マス媒体とiメディアの提案だけに終わらない、ですね。

岩佐:メディアの組み合わせプラン、ではなくて、タッチポイントのアクティベーションをどう作っていくかが大事だし、事業目標にコミットできるものを提案しないといけない。その一つの手段としてメディアを活用する、というイメージだよね。
メディア予算の最適化が得意先から提示された課題でも、本当の目的は売上の最大化だから、提案する僕らの守備範囲は広げていかなくてはいけない。

菅:それだけに色んなインプットが必要ですよね。
たとえば、PDCAサイクルを回していくためには色々な数値のモニタリングが必要ですけど、その計測フィジビリティを事前に担保するためにはタグマネジメントや取得したIDを施策にきちんとつなぎ込めるかなど、把握していかないといけない。通販やECだとフルフィルメントや調達コスト、それからどの商材がどんな媒体で顧客獲得しているか、引上率がどのくらいかなど、そういった閾値をインプットしておく必要があります。

岩佐:俯瞰してみたときに、引き出しが多いイメージだよね。

菅:少し前ですが、ベンチャーキャピタルで修行させてもらった時に事業評価の目線を学んだりしたのも役に立っています。そうするとKPIの連鎖で事業全体を捉えられるから、どのKPIを運用レバーとして動かせば売上や利益に効くか、LTV最大化のトリガーは何なのかを見抜くことができる。
そういった訓練は人より積んでいますし、この部門自体そういう場所ですしね(笑)。

◆マーケティングのキードライバーとフレーム設計◆

岩佐:単純なメディアプランニングもキャンペーン全体の構造と紐づけてフレームから作っていかないといけない時代だよね。
例えば、WEB上の獲得戦略とかでも、転職サービスだと「求人」、賃貸サービスだと「借りる」みたいな検索行動が起きるわけだけど、本当はその前にライフステージの変化があるから、そのライフステージ系のキーワードを探している。うちのグループには、検索ワードについて深く分析できる環境があるから、ユーザーのモチベーションを特定するワードで予兆分析して、転職や引越しニーズが顕在化する直前を掴まえることができる。
実際には、WEBでのリターゲティング配信するプランニングはもちろん、顕在化してから獲得する場合と比べてどのくらいの低フリークエンシーで取れるか、顕在化した時にそのセグメントがどのくらいのリフト率があるかとかを日々見ている。

菅:しかも、今はDMPによってそれらのユーザーデータにTV視聴ログを紐づけられるから、それを基にTVのプランニングにも活かせますしね。

岩佐:結局、データやツールはたくさんあるけど、それをどう組み合わせて、一つのマーケティング装置を作るかということが問われている。

菅:今まさに二人でやっていることとして、野球のメディア「BASEBALLGATE」も大きなマーケティング装置ですよね。

※BASEBALLGATE:野球人口の裾野拡大や、その周辺のスポーツビジネス産業の活性化を行う装置として、博報堂DYメディアパートナーズが立ち上げた野球トータルプラットフォームとしてのメディア。

岩佐:BASEBALLGATEはまさにメディアそのものだし、事業そのものだし、僕らがこれまで培ってきた知見やスキルを活用したプロジェクト。反対に事業主側の苦しさや知見もここで初めてわかる。そうすると、普段のクライアントや媒体社にそこで得た知見や仕組みを還元できたりする。

菅:メディアだけではなく、ベンチャー企業と組んで、野球の裾野拡大のためにプレイヤーやチームのサポート領域の活性化まで取り組み始めています。これを一つの装置として色んな企業とのアライアンスや事業が生まれるといいなと思っています。

◆参考リンク:BASEBALLGATEサイト / PLAY by BASEBALLGATE アプリ

岩佐:そのためにはバックエビデンスのある拡張性を追い求めなければいけないし、僕らも一人一人多様性を持って成長しながら、パートナー企業の成長を支援していきたいね。

菅:まさに、事業運営者やら、店長やら、クリエイターもいれば、アナリストがいる、本当に面白い部門ですね(笑)。

岩佐:メディア領域に関して、今までの効率化を目的としたプランニングだけでなく、各自が既存の枠をこえたプランニングをしようという課題意識を持って、それぞれが領域を踏み越えながら動いている部門だよね。

◆コンサラクション当日に向けて

岩佐:「事業成果にコミットする、次世代型メディアプランニング」というテーマでコンサラクションセミナーを実施するのですが、当日は、いくつかのケースとともに、メディアプランニング領域におけるアカウンタビリティやワークフローの変化についてお話ししたいと思っています。宣伝部の方はもちろんですが、事業部の方や経営層の方にもぜひ聞いていただければと思います。

菅:なんで最近メディア側が活況になりつつあるか、プランニングの手法がどう変わってきているか、そのあたりを議論したいですね。

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プロフィール

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岩佐 和幸
博報堂DYメディアパートナーズ データドリブンプラニングセンターメディアプラニング三部 メディアプラニングディレクター

2007年博報堂に入社後、営業職として国内外の新規クライアント開拓などを担当。そののち、自動車会社のコミュニケーション戦略と実行を担当していたが、2014年より博報堂DYメディアパートナーズのメディアプランニング部門へ異動。以来、マスからWEBまでデータオリエンテッドなプランニングを行うメディアプラナーとして数多くのクライアントを手がける。

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菅 裕紀
博報堂DYメディアパートナーズ データドリブンプラニングセンターデータドリブンマーケティング一部 ストラテジックプラニングスーパーバイザー

2009年博報堂に入社し、一貫してストラテジックプランニング職として家電・トイレタリー・インターネット企業等のマーケティングサポートを行い、2013年より博報堂DYメディアパートナーズへ移り、グループ内ベンチャーキャピタルでのベンチャー投資を経験。現在は媒体社やパートナー企業の事業開発支援なども手がける。

★コンサラクションセミナーの詳細はこちら
(事業成果にコミットする、次世代型メディアプランニング~メディアサイドから生まれるアクチュアルデータのマーケティング活用実践事例)

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【第三回】-データアナリストから見たデータドリブンプランニングの今
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