

スマートTVとは何か?
2012年2月15日
今野 真人
テレビタイムビジネス局
昨今のメディア事情が語られるときによく「スマートTV」という言葉を耳にする。この「スマートTV」とはいったいどのようなテレビなのか。
スマートTVの定義は、現時点で明確には存在していないようである。我々ミライテレビファクトリーでは、調査・分析を経て、公式な定義とは言えないまでも、おおむね下記の二つの要素を保有するテレビ受像機またはセットトップボックス(STB)等のテレビ周辺機器をスマートTVと定義することとした。
①インターネットに接続可能
通常のテレビ番組に加え、インターネットに接続し、ネット上の動画やビデオ・オンデマンド(VOD)サービス視聴が可能。
②パソコンと同等の情報処理能力を持つCPU(中央演算処理装置)を保有
通常のWebサービスを利用可能なだけではなく、テレビ番組やネット動画、Webサイト等の横断的な検索も可能。またテレビアプリをインストールすることにより、ゲームやSNS等のコンテンツサービスを楽しむことができる。最近のインターネット接続やTVは何らかのCPUは搭載されているが、パソコン並みのCPUを積んでいるかどうかがポイントである。
似て非なるものとして、インターネットTVは、上記①だけの機能を有するテレビ受像機またはSTB等を指す。またIPTVは、オープンなネットワークを経由せず別の閉じたネットワークを使い特定のユーザーのみが利用できるサービスであるので、アクセスの集中による映像配信への影響がなく、通信の品質をきちんと管理でき、映像の乱れや停止を避けられるという特長がある。
スマートTVに話を戻すと、現在日本では.上記①と②の条件を完全に満たすものはほとんどない。よって以下は日本でスマートTVが普及したら、ユーザーやコンテンツがどう変わるかという仮説の話をしたい。
スマートTVの楽しみ方
従来のテレビ(CATVを除く)では地上波放送を中心に、BS、CSといった放送コンテンツしか視聴できなかった。スマートTVではそれ以外にネット動画、VODやSNS、ゲームといった様々なコンテンツが手軽に利用できるのが特長である。
リモコンは現在のボタン式の一方向のものではなく、スマートデバイスをベースにした双方向の「スマートリモコン」が主流になるであろう。ユーザーはスマートリモコン上で動画検索やSNSの利用等、入力が必要な処理をして、その結果をテレビ受像機上で表示・利用するといった2スクリーンの使い分けをすることになるであろう。
ユーザーにとっては、大画面のテレビで様々なコンテンツを手軽に楽しめることが大きなメリットである。ただし膨大な数のコンテンツの中から必要なものを見つけ出すことは困難であるため、コンテンツの検索・リコメンド機能が重要な役割を果たすことになる。
放送などのコンテンツヘの影響
スマートTVが普及したと仮定した場合、放送コンテンツは、その他コンテンツの圧倒的な「数」の中に埋没する可能性がある。しかし、「質」という面で依然として高いクオリティーを有しているので、ユーザーが放送コンテンツを見なくなるということは考えにくい。生活者の接触できるメディアがこれほど多様化している中でも、テレビの視聴時間が大きく変化をしていないことが証明している。よってすぐに広告ビジネスに大きな変化が生じることはないであろう。ただし、現在のスマートフォンで展開されているアプリ広告モデルがスマートTV上にも出現する可能性が高いので、テレビ広告との競合になる可能性はある。
テレビアプリではSNSやゲーム以外にも様々なコンテンツが提供されるであろう。ただし新聞や雑誌といった活字が中心となるメディアのアプリはテレビ画面との相性もあるので、記事の読み上げサービスや関連動画サービス等は必要不可欠になってくるであろう。
最後に、スマートTVが日本で普及するかどうかは大変不透明ではあるが、普及することを前提に今から様々な対応策を検討しておくことが重要である。
日本新聞協会発行「NSK経営リポート」(2011年秋号)より転載
※執筆者の部署名は、執筆時のものであり現在の情報と異なる場合があります。
