

「コンテンツホルダーと協業しビジネスをプロデュース」
2012年1月16日
佐藤 圭太朗
i-メディアビジネス局
これまで紹介してきたようなメディア企業との新ビジネス開発に取り組んでいると、広告会社は「商社」と同じ歴史を辿っていると言われる。商社は、メーカーによる直接の海外進出やIT革命により、仲介業の役割が希薄化し、従来型の手数料ビジネスの危機が取り沙汰されていた。この課題に対し、手数料ビジネスから取引先や事業に投資を行うビジネスに変革することで、収益力の高い新しいビジネスモデルの構築に成功した。
デジタル化が進み、得意先が生活者や媒体社と直接つながる中、広告会社も、手数料ビジネスから事業投資ビジネスへの変革が必要と言われている。だが広告会社の競争優位性は、メディア・コンテンツホルダー等とのパートナーシップであり、それをプロデュースする力。商社のような投資ビジネスではなくパートナー企業との共同ビジネスをプロデュースすることが重要である。
デジタル化というメディア環境においては、テクノロジーの活用も必須だ。4月19日に発売された「電子書籍版 イチロー・インタヴューズ」は、広告会社がメディア、コンテンツホルダーと協業し、テクノロジー、そしてビジネスそのものをプロデュースすることで生み出された。既刊の文春新書を電子化しながら、MLB公式の映像コンテンツ60本以上、雑誌『Number』の写真コンテンツ80点以上、各球場の成績やハイライトシーンも収録し、ファンにとっての〝イチロー選手〞をプロデュースすることで、新しいユーザー体験を提供している。国内外のコンテンツプロデュースだけでなく、事業投資を行いながら、事業スキームや収益構造等のビジネスモデル設計まで行っている。
広告会社のこれからのビジネスは、広告ビジネス設計だけでなく、もっと大きな新しいビジネスモデルを設計すること。現在の広告ビジネスの競争優位性を活かしながら、次の50年の柱となる新たなビジネスモデルを構築していきたい。
(宣伝会議2011年6月1日号掲載の連載を転載)
※執筆者の部署名は、執筆時のものであり現在の情報と異なる場合があります。
